農は国の大本なり 農業と教育のマッチング/埼玉県幸手市
私たちの生活は「農」に支えられています。
食生活において「農」がないなんて考えられません。
はるか昔から現在まで、「農」は、決して変わることのない必要不可欠のものです。
農業と教育の課題
農家さんの目線では、後継者問題が課題としてあります。
教育の目線では、直接体験ができる場所の確保が課題としてあります。
ほんの少しですが、その課題解決につながる取り組みが、毎年、幸手市では行われています。
米どころ幸手の「どろんこ農業体験」
この時期、よくニュースで見る光景ですが、都心から50キロ圏内の幸手市でも行われています。
幸手市では児童に、生命、自然、環境、食物などに対する理解を深めてもらうこと、農業の役割、生産と勤労の尊さを体得することを目的に農業体験授業が行われています。
農業体験授業の農家さんを手伝う青年も、農業体験授業を経験しているひとりです。
農家さんの理解と協力があって
農家さんの理解や協力があって、市内児童が農業を体験できます。
現代農業は機械が主流になっていますが、なぜ、児童たちのために手で行う田植えスペースを確保してまでも協力してくれるのか?
農家さんは言います。
「今は全て機械でやってしまうので、田植え時の水の感触や土の感触を子どもたちに感じてもらいたい。そして、お米がどうやって食べられるようになるかを学んでほしい。大人になってどれくらい記憶として残るかわからないけど、季節ごとの農作業というものが学習につながるのであれば協力する意味があると思います。」
大人の気持ちはどこへやら 笑い声があちこちで
「冷たーい!」「気持ちいい!」「どろがついた!」「苗ちょうだ~い!」「もっとやりたい!」
終始、手足から伝わる大地の感触に笑顔がこぼれます。
作業終了後、児童からは「農家さんがわかりやすく教えてくれたので、楽しかった!」「作業の大変さを学ぶことができた。」など、体験により教育と農業がマッチングしていることがわかります。
美しい田園風景が広がる地域だからできること
この体験は、ふるさととなる幸手を知る貴重な経験でもあります。
幸手で生まれた子も、幸手に転入してきた子も。
秋、児童たちは、稲刈りの時期になるとまたここに戻ってきます。
はるか昔と同じように鎌を手に持ち、実りを収穫するために。
幸せな食の前に、食を支える手(業)にも感謝をします。
実りを頬張る表情は、ひとつ。みな同じ。
お茶碗についた一粒のお米も残さず、ごちそうさまをします。
農業と教育が結びつくことで
児童の心には、関心を抱く種がひとつ増えます。
いつの日か、その種から芽が出ることで、学びの花が咲き誇ります。
田園風景と都市とが背中合わせのこのまちは、健やかな子どもの成長にぴったりです。
豊かな自然と先人たちの英知に支えられているまち、幸手市の農業と教育のマッチングの紹介でした。ではまた。